損益レシオとストレス [基礎知識]
損益レシオは、[勝ちトレードの平均的な利益幅]を[負けトレードの平均的な損失幅]で割った値です。
損益レシオが1.0より大きい場合は、負けは小さめ、勝ちは大きめということを表しています。その場合、勝率は50%より小さくなることが多いです。
逆に、損益レシオが1.0より小さい場合は、負けは大きめ、勝ちは小さめということを表しています。このケースでは、勝率が50%より大きくないと全体として勝てません。
このように、損益レシオはトレードのスタイルを特徴付ける数値です。どのような損益レシオが合っているかは人それぞれで、それと大きく異なるスタイルのトレードはストレスを感じるでしょう。
例えば、損益レシオが非常に大きな値で、その大小として勝率が低い場合は、多くの損切りを繰り返す事になります。損きりの多さはストレスになりえますよね。
逆に、損益レシオが非常に小さな値で、そのかわりに勝率が非常に高い場合には、こつこつ貯めた利益を1回の負けで大きく吐き出すことになります。これはこれで、ストレスになりますね。
どのようなスタイルが良いかは、あくまでも人それぞれです。
PF(Profit Factor)について [基礎知識]
システムトレードについて学んだ人なら、PF(Profit Factor)はお馴染みでしょう。ただ、誤解している人もいるようです。
例えば、次のような2つのシステムがあったとします。
システムA : PF = 1.7
システムB : PF = 2.5
システムBの方が儲かると思っているとすれば、それは誤解です。
少ない犠牲(損失)で大きな利益を出せるという意味では、システムAよりシステムBの方が“効率よく稼ぐ”ことができます。
しかし、システムAよりシステムBの方が“儲かる”かと言えば、それに関しては何とも言えません。PFだけではわからないのです。
なぜなら、PFは「利益額」と「損失額」の比率を表す数字であって、利益率まではわからないからです。例えば、次の2つはどちらもPFが2.0ですが、利益率は異なりますよね。
① 資金100万円で利益額 = 10万円、損失額 = 5万円 → 利益率 = 5%
② 資金100万円で利益額 = 20万円、損失額 = 10万円 → 利益率 = 10%
また、PFだけからはトレード回数についてもわかりません。PFが高くてトレード回数の少ないシステムより、PFが低くてトレード回数の多いシステムの方が儲かるということはよくあるのです。
ドローダウンについて [基礎知識]
ドローダウンはシステムトレーダーにとって一番嫌な事です。資金が目減りするわけなので、嫌なのは当たり前ですね。
でも、単に資金の目減りだけに気をとられるのではなく、その期間にも注意するべきでしょう。
たとえドローダウンの金額が少なくても、その期間が長い(例えば1年)場合には、そのシステムを運用している限り資金が“死んでいる”状態です。
もしも、他のシステムや裁量などでトレードの有望なタイミングがあっても、その機会を活かす事ができないかもしれません。ドローダウンのシステムを運用し続ける事は、トレードの機会損失にもつながるのです。
だから、システムの運用停止条件には、ドローダウンの期間に関するルールも含めておいた方がよいでしょう。「××ヶ月以上ドローダウンが続いたら、運用を一旦中断する」といった感じですね。
システムポートフォリオ(その2) [基礎知識]
システムポートフォリオは安定して利益を得る上で重要です。ただ、ある程度多くのシステムを揃えなければならず、それが個人投資家にとってネックになるとも言えます。
FXの自動売買システムでは、数個のEAを備えているシステムは存在します。
しかし、もっと本格的なポートフォリオを運用してみたいとか、もっと自由にEAを組み合わせてみたい、という方も少なくないでしょう。
そんな方に魅力的なサービスがあるので、ポートフォリオの一部(または全部)に利用してみてはどうでしょうか。
そのサービスは昨年の終わりごろに登場した「Gem-Trade(ゲムトレード)」というサービスです。
所定の証券会社に口座開設して2,000ドル入金するのが条件になりますが、サイトに登録されているEAが無料で使い放題となります。EAは70個程度あり、現在も増え続けています。
何も、買い切ってそろえたシステムだけでポートフォリオを組むのが良いわけではないですよね。使えるサービスはどんどん活用するべきです。
システムの安定度(その2) [基礎知識]
前回の記事で、
「短いタイムスケールでも高い勝率を維持できることが安定しているということ」
と述べました。コレを補足します。
リスクの高さは資金量でコントロールできます。例えば、30%の損失が発生するリスクがあるとします。30%というのはかなり高い値ですね。
しかし、投入資金を十分に少なくすれば、金額で考えた場合のリスクは小さく抑える事が可能です。
それに対して、安定性は資金を小さくしても変りません。例えば、月次ベースの勝率が80%のシステムがあったとします。そのシステムでは、投入資金を減らしても勝率が80%のままです。安定性が増すわけではないですよね。
複利運用にはシステムの安定性が重要になります。つまり、複利運用できるかどうかは、投入資金ではコントロールできないことになります。(というより、投入資金を減らすと複利のメリットがなくなってしまうのです。)
システムの安定度 [基礎知識]
売買システムの「安定度」はどうやって評価したら良いのでしょうか?
最大ドローダウンを見るのも1つの方法ですが、他に、月次や週次、日次など、異なるタイムスケールの運用成績を見るのも有効です。
例えば、週次で必ずプラスの利益を出しているシステムは相当に安定しています。週次でプラスだから、月次でも年次でも必ずプラスになるはずですね。
でも、日次で必ずプラスになるとは限りません。
このことから直ぐにわかるように、短いタイムスケールで必ずプラスになる方が、「より安定している」わけです。
リスクの揃え方(その2) [基礎知識]
以前、ポートフォリオを構成する時の注意点として、価格変動率の全く異なる投資対象(株式銘柄や売買システム)に同じ資金を投入しても、あまりポートフォリオの意味が無いという話を書きました。
価格変動率の大きな投資対象の成績だけで、ほぼ全体の成績が決まってしまうからです。この場合、リスクを金額で表して、それがほぼ等しくなるように資金量を調整するのでしたよね。
同じようなことが、時系列についても言えます。
ある1つの投資対象は、常に同じような大きさの値動きをしているわけではないですね。ボラティリティは時間とともに変化します。
常に同じ大きさの資金を投入していると、ボラティリティの大きな相場局面の成績だけでトータルの成績がほぼ決まってしまうこともあります。
最も、ボラティリティの大きな相場局面とは、リーマンショックの時のような大暴落時です。上手く乗れれば良いけれど、逃げそこなうと一巻の終わりということも・・・
この事から、何を学びますか?
値動き以外のリスク [基礎知識]
損切りをして資金が減るリスクは価格の変動によるもので、価格変動リスクと呼ばれます。
投資では、価格変動リスク以外にも色々なリスクが関係してきますが、それらの中で個人投資家が気をつけなければならないものは、信用リスクと流動性リスクです。
信用リスクは、株式投資で保有銘柄の会社が倒産した場合のように、資金を回収できなくなるリスクです。投資対象の信用度の高低に伴うリスクです。
債権でも、信用度の低い国や企業の債権の方が利率がよくなります。
流動性リスクは売買したいときに直ぐ成約しないリスクです。例えば、株価が暴落しているので売り逃げしたいが、買い手がつかなくてどんどん値が下がってしまう、というようなリスク。基本的には売買量の多い少ないによって決まります。
個人投資家は、極力、信用リスクと流動性リスクを避けて通るのが賢明です。
リスクは最大値で考える [基礎知識]
ポートフォリオは複数の投資対象や投資手法に資金を分散することで、お互いの“不調な局面”を補い合うテクニックです。ポートフォリオには、
● 株式投資の銘柄によるポートフォリオ
● システムトレードのシステムによるポートフォリオ
● 複数の投資種目によるポートフォリオ
などがあります。
いずれも、利益をなるべく損なわないようにしつつ、リスクを減らすように組み合わせます。(実際には無いと思いますが)理論的にリスクをゼロにする組合せも考えられます。
しかし、リスク管理の立場からは、ポートフォリオを構成する銘柄やシステムのリスクを全て合計したものを全体のリスクと考えておくべきです。実際に、ポートフォリオが意味をなさなくなり、全体が損失になるような事もあるからです。経済危機の時などはその例ですね。
もし、複利で運用すれば・・・ [基礎知識]
よく、投資系のサイトに「もし、複利で運用すれば5年間で資金はXXX倍になりました」というような記述を見かけます。
多くの場合はバックテストの結果や単利運用の結果を元に計算しているわけですね。実際に複利運用した結果を載せているサイトは少ないと思います。
実は単利運用で資産が大きく増えたトレード手法でも、複利運用はできないものがあるんです。
それは、運用成績が不安定なトレード手法です。調子の良い時と悪い時の差が激しいようなケースです。
このようなケースでは、複利運用は危険です。投入資金が大きくなってから調子が悪くなるとダメージが大きいからです。
成績が安定したトレード方法でないと複利運用できないと覚えておいた方がよいです。